【かんたん解説】特例子会社

アイワークスの田村です。みなさんは「特例子会社」という言葉を聞いた事がありますか?

特例子会社とは、障害のある人々の雇用促進と安定化を目的として設立された企業です。この制度は、障害のある人々が自分の能力を最大限に発揮できるよう配慮された職場環境を提供することを目指しています。それには、個々の障害特性に合わせた業務の提供、設備や環境面での配慮、専門スタッフの配置などが含まれます。

特例子会社が認定されるためには、親会社の支配、障害者の雇用割合と重度障害者の比率、適切な雇用管理能力、その他障害者の雇用促進と安定化の達成可能性など、一定の要件を満たす必要があります。これらの要件は、障害者が働きやすい環境を確保しつつ、彼らの社会参加を促進するために重要です。

特例子会社の歴史と背景

特例子会社制度は、昭和の時代に障害者雇用が進まないという問題を解決するために考案されました。当時、障害のある人々が一般の職場に参加することには多くの障壁がありました。これに対処するため、障害者が働きやすい環境を提供する専用の子会社を設立するアイデアが生まれました。特例子会社は、障害特性に合わせた就業規則の設定、障害者の受け入れに特化した助成金の利用、そしてグループ会社全体の障害者雇用率に算入できるという利点を持っています。

実は、特例子会社制度は40年以上も前に誕生していました。日本でいちばん最初に認定を受けた特例子会社は、シャープ特選工業株式会社(大阪市阿倍野区)で親会社はみなさんご存じのシャープ株式会社。認定年月日は昭和52年3月31日です。次いで、オムロン太陽株式会社(大分県別府市)で親会社はオムロン株式会社など、昭和の時期に大手企業の特例子会社が設立されました。

2023年6月1日現在では、全国で特例子会社は598社あります。特例子会社の所在地を都道府県別に見ると多い順から、東京都189社、大阪府55社、神奈川県50社、愛知県31社、埼玉県29社、兵庫県25社の順になっています。

この制度の導入により、重度の身体障害や知的障害のある人々の雇用が拡大し、近年では精神障害や発達障害のある人々の雇用にも大きく寄与しています。特例子会社は、障害者雇用の新たな可能性を開き、多くの企業にとって重要な役割を果たしてきました。

特例子会社のメリット

特例子会社で働くことのメリットは多岐にわたります。最も重要なのは、障害のある人にとっての配慮が手厚くなる点です。これには以下のような要素が含まれます。

職場環境:特例子会社は障害のある人を雇用する目的で設立されているため、職場は多くがバリアフリーであり、障害特性に合わせた業務や設備が提供されます。
支援制度:専門の相談員や担当者が常駐し、障害のある従業員のサポートを行います。これにより、仕事上や日常生活の困難に迅速かつ適切に対応することが可能です。
勤務体制の柔軟性:在宅勤務やフレックスタイム制度の導入など、従業員の体調や生活状況に合わせた柔軟な勤務スタイルが可能です。

これらのメリットは、障害のある人が安心して働ける環境を作り出し、それぞれの能力を最大限に発揮できるようにするために極めて重要です。

特例子会社のデメリット

特例子会社で働くことには多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットも存在します。これらを理解することは、特例子会社での雇用を検討する際に重要です。

求人数の限られた選択肢:特例子会社の数は一般企業に比べて少ないため、利用できる求人は限定的です。
給与の低さ:特例子会社では、一般企業と比較して給与が低めに設定されることがあります。
仕事内容の制限:障害特性に配慮した業務を中心に行うため、仕事の範囲が限定されることがあります。

これらのデメリットを考慮し、個々のニーズや能力に合った職場を見つけることが重要です。

特例子会社と一般企業の障害者雇用の比較

特例子会社と一般企業における障害者雇用は、いくつかの点で異なります。このセクションでは、それらの違いと各々の特徴を検討します。

勤務環境:一般企業では障害者と非障害者が共に働く環境が多いですが、特例子会社は障害のある人向けに特化した職場環境を提供します。
サポート体制:特例子会社は障害のある人のためのサポートや設備が整っていることが多く、一般企業よりも個別のニーズに対応しやすいです。
職種とキャリアパス:一般企業では多様な職種がありますが、特例子会社では障害特性に合わせた業務が中心となります。キャリアアップの機会も異なる場合があります。

これらの違いを理解することで、障害者雇用を考える際に最適な選択ができます。

特例子会社での実際の仕事内容と例

特例子会社では、様々な業種や職種があります。一般的な例を挙げると、以下のようなものがあります。

サービス業:清掃、ビルメンテナンスなど。
製造業:印刷関連や食料品製造など。
情報通信業:プログラマーやデータ入力など。

職種としては、事務補助、清掃、管理、製造(機械、食品等)、物流、サービスなどが挙げられます。

これらは障害者の特性に合わせた業務が中心となっており、多様な障害を持つ人々が自分の能力を生かせる環境が整っています。

特例子会社と障害者雇用、どちらがおすすめ?

特例子会社と一般企業の障害者雇用のどちらが適しているかは、個人のニーズや状況によって異なります。以下は、それぞれが向いている人の特徴です。

特例子会社が向いている人

自身の障害特性に合わせた業務を希望する人。
安定した環境で長期的に働きたい人。
同じ障害を持つ人々とのコミュニティで働きたい人。

一般企業の障害者雇用が向いている人

特定の専門分野や職種で働きたい人。
給料の向上やキャリアアップを目指している人。
様々な職場環境での経験を積みたい人。

どちらを選ぶ場合でも、自分に合った職場を探すことが、最も重要です。自分の希望や能力に合った就職先を見つけるために、各選択肢の特徴を慎重に考慮することが大切です。

障害者の方におすすめな特例子会社の求人の探し方

特例子会社への就職を目指す際には、適切な求人の探し方が重要です。以下は、効果的な求人探しの方法です。

ハローワークの利用:ハローワークでは障害者雇用に関する専門の相談窓口が設けられており、特例子会社の求人情報も提供されています。
専門の転職支援サービス:障害者専門の転職支援サービスを利用することで、個別のニーズに合った求人を見つけやすくなります。
インターネットの求人サイト:オンラインの求人サイトでは、特例子会社の求人が幅広く掲載されています。
就労移行支援の利用:就労移行支援では、職業訓練やキャリアアドバイスを受けることができ、特例子会社への就職活動の全般をサポートしてくれます。

これらの方法を活用することで、障害のある方に適した特例子会社の求人を効果的に見つけることが可能です。

まとめ

この記事では、特例子会社の基本的な理解から、そのメリット・デメリット、一般企業の障害者雇用との比較、実際の業種や職種、そして特例子会社の求人を探す方法までを網羅しました。

特例子会社は、障害のある人々に特化した職場環境を提供し、彼らが自分の能力を最大限に発揮できるような支援を行うことが大きな目的です。一方で、求人数の限られた選択肢や職種の制限などのデメリットも理解することが重要です。

特例子会社への就職は、障害のある人々にとって有意義なキャリアの選択肢となり得ます。自分に合った職場を見つけるためには、これらの情報を参考にしながら、慎重に検討することが求められます。

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この記事を書いた人

アイ・ワークス 田村 義邦