アイワークスの田村です。今日は最低賃金制度の基本的な説明から、その種類、適用される労働者の範囲、賃金計算の具体的な方法を解説したいと思います。
また、法的な要件や最低賃金が守られなかった場合の罰則についても触れ、労働者と使用者の双方が知っておくべき重要な情報を提供します。
最低賃金制度の基本
最低賃金制度は、労働者が受け取るべき賃金の最低額を保障するための制度です。この制度により、使用者は法律で定められた最低額以上の賃金を支払う義務があります。賃金が最低賃金未満である場合の合意でも、それは法的に無効とされます。
最低賃金の種類
最低賃金には「地域別最低賃金」と「特定(産業別)最低賃金」の二種類があります。地域別最低賃金は、地域ごとに設定される一律の金額で、すべての労働者に適用されます。各都道府県に1つずつ、全部で47件の最低賃金が定められています。
一方、特定(産業別)最低賃金は、特定の産業において必要と認められた場合に設定されるもので、通常は地域別最低賃金よりも高い金額が設定されます。全国で227件の最低賃金が定められています(2023年3月31日時点現在)。
最低賃金の適用される労働者の範囲
最低賃金は、パートタイマーやアルバイト、臨時職員や嘱託などの雇用形態に関わらず、全ての労働者に適用されます。ただし、特定の条件を満たす労働者には、減額の特例が認められる場合もあります。
一方、特定(産業別)最低賃金は、特定の産業の基幹的労働者とその使用者に対して適用されます。
ただし、以下の方は、特定(産業別)最低賃金が適用されません。
・18歳未満又は65歳以上の方
・雇入れ後一定期間未満の技能習得中の方
・その他当該産業に特有の軽易な業務に従事する方
※特定(産業別)最低賃金ごとに異なります。詳しくは、最低賃金適用額早見表をご確認ください。
また特例として、一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合に、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれなどがある。
という理由から、次の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件に個別に最低賃金の減額の特例が認められています。
1. 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い方
2. 試みの使用期間中の方
※「試みの使用期間」(労働基準法に規定される、解雇予告が必要ないとされる雇入れから14日以内の期間)と
「試用期間」(会社が任意で決める労働者の適性や勤務態度、能力・技術などを見定める期間)は
まったく別です。
3. 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省令で定める方
4. 軽易な業務に従事する方
5. 断続的労働に従事する方
※断続的労働とは休憩は少ないが手待ち時間が多い業務の事です。
最低賃金の計算方法
最低賃金の計算においては、基本的な賃金のみが対象となります。例えば、臨時に支払われる手当や賞与などは最低賃金の計算からは除外されます。
また、具体的な計算方法には、時間給、日給、月給などがあり、それぞれの計算方法で最低賃金以上であるかを確認する必要があります。
【最低賃金の計算方法】
1. 時間給の場合
時間給≧最低賃金額(時間額)
2. 日給の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、日給≧最低賃金額(日額)
3. 月給の場合
月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
4. 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合
出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金算定期間において出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除した金額≧最低賃金(時間額)
5. 上記1〜4の組み合わせの場合
例えば基本給が日給制で各手当(職務手当等)が月給制などの場合は、それぞれ上の2、 3の式により時間額に換算し、それを合計したものと最低賃金額(時間額)と比較します。
【最低賃金の対象とならない賃金】
(1)臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
(2)1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
(3)所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
(4)所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
(5)午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
(6)精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
法的要件と罰則
最低賃金を支払わなかった場合、使用者は労働基準法に基づき罰金が課せられることがあります。また、最低賃金の周知義務があり、作業場には常に最低賃金に関する情報が掲示されるべきです。
最低賃金のチェック方法
支払われる賃金が最低賃金額以上となっているかどうかを調べるには、最低賃金の対象となる賃金額と適用される最低賃金額を以下の方法で比較します。(計算方法等について詳しくは、お住まいの都道府県労働局は労働基準監督署へ。)
まとめ
さて、最低賃金制度について色々と見てきましたが、この制度があるおかげで、働くみんなが最低限保障された賃金を受け取ることができるんです。これって、働く私たちにとっては結構心強いサポートだと思いませんか?
このブログを通じて、最低賃金の基本を知って、みなさんが少しでも快適に働けるようになればうれしいです。
もし「これって最低賃金大丈夫かな?」と思ったら、気軽に専門家に相談してみるのもいいかもしれません。少しだけ勇気を出して、自分の権利をしっかり守ってください。
そして、この情報が役に立ったら、ぜひお友達や同僚の方にも教えてあげて、みんなで良い職場環境を作っていきましょう!
最低賃金についてもっと知りたくなったり、具体的なことで不安があれば、いつでもアイワークスに相談してください。この記事が少しでもみなさんのお役に立てたらうれしいです!