障害者雇用の除外率制度の変遷と今後の課題

アイワークスの田村です。障害者雇用に「法定雇用率」があるのは、ご存じの方も多いと思いますが、「除外率」というのはあまり知られていないと思います。

障害者雇用の除外率制度とその背景

障害者雇用促進法に基づき、従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。

一方、特定の業種において障害者の雇用義務を軽減する「除外率制度」が設けられていました。この制度は、障害者の就業が困難とされる業種、例えば建設業や医療業などにおいて、雇用する労働者数の計算時に一定の控除を許可するものでした。

法改正と除外率の廃止

2002年の法改正により、ノーマライゼーションの観点から、2004年4月より除外率制度は廃止されました。しかし、この変更に伴い、特例措置として除外率設定業種ごとに段階的な引き下げが行われ、2004年4月と2010年7月には一律に10ポイントの引き下げが実施されました。さらに、2025年4月にも同様の引き下げが予定されています。

除外率の計算方法

例:除外率20%の業種 常用労働者数 1000人の企業の場合
・除外率なし 1000人 × 2.3% = 23人(雇用義務数)
・除外率あり (1000人 – 200人) × 2.3% = 18人(雇用義務数)

今後の法定雇用率アップ・除外率引き下げに伴う必要雇用数

2023年11月現在2024年4月予定2025年4月予定2026年7月予定
雇用率・除外率の変動雇用率0.2% UP除外率10%引下雇用率0.2% UP
法定雇用率2.3%2.5%2.5%2.7%
適用される除外率20%20%10%10%
雇用義務のある障害者数
除外率なし企業23名25名25名27名
除外率あり企業18名20名22名24名

今後の障害者雇用への取り組み

除外率制度の廃止後も、障害者雇用に対する課題は残ります。厚生労働省は2022年度に「障害者雇用モデルの構築事業」を実施し、除外率設定業種の企業が障害者雇用に関するコンサルティングを受ける機会を提供しました。この取り組みは、障害者雇用の質の向上と組織的な改善を目指すものです。

障害者雇用の新たな方向性

障害者雇用の捉え方は、単なる法定雇用率の達成から、組織に貢献する業務を障害のある従業員に担ってもらう方向へとシフトしています。企業は、障害者雇用を経営戦略の一環として捉え、組織開発や人材活用の観点から障害者雇用を進めることを求められています。

障害者雇用の質の向上

今後の障害者雇用は、単に数を増やすだけでなく、障害者が組織内で活躍できる新たな業務の創出に焦点を当てることが重要です。これには、革新的な考え方や発想が必要であり、人事部や障害者雇用担当者だけでなく、事業企画やダイバーシティ推進の観点も取り入れることが重要です。

組織としての障害者雇用への取り組み

障害者雇用においては、今後ますます、組織全体での取り組みが求められます。障害者雇用を組織の成長や発展に寄与する要素として捉え、組織にとって新たな形の障害者雇用を生み出すきっかけ作りをアイワークスは全力でお手伝いします。

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この記事を書いた人

アイ・ワークス 田村 義邦