アイワークスの田村です。突然ですが、みなさんは「職業準備性」という言葉を聞いたことがありますか?ちょっと堅苦しく難しそうな言葉に聞こえるかもしれませんが、実は日頃私たちが仕事をする上でとっても大切な概念なんです。ざっくり言うと、働くために必要ないろいろなスキルや能力のことを言います。
職業準備性とは?
具体的には、身体的な健康や心の健康を維持するための「健康管理」。日々の生活を整理し管理する能力である「日常生活管理」。他人と効果的に関わり合い協力するための「対人技能」。職場環境において求められる基本的なビジネスマナーや職務を遂行するための体力を含む「基本労働習慣」。そして特定の職業に求められる専門的な知識や技術、業務をこなすための適性である「職業適性」。
これら5つの能力のことを言います。
これらの要素は個別にも重要ですが、相互に影響を及ぼし合いながら、働く人としての総合的な力を形成します。
職業準備性を高めることは、個人が職場での挑戦に自信を持って取り組み、長期的に充実した職業生活を送るための基礎を築くために必要な事です。
健康を維持すること、毎日の生活をうまく管理すること、人と上手に付き合う方法、仕事の場での基本的なマナーや体力、そして、その仕事をする上で必要な特別な技術や能力まで、いろいろなことが含まれています。
これら一つひとつを自分ひとりで出来るようになるのはとても難しいことです。これらを、支援員と一緒に訓練しながら、ひとつずつ身に付けていくことで、自信を持って、長く働き続けれる能力が身に付きます。
「職業準備性」が身についてくると、仕事の面で色んなことにチャレンジする力が付き、どんな困難にも対応できる力も身につきます。
今回は、職業準備性の中でも、主に生活訓練のカリキュラムで身に付けることができる「健康管理」と「日常生活管理」に焦点を当てて解説します。
じつは、「職業適性」や「基本労働習慣」は身に付いているけれど、土台の部分「健康管理」と「日常生活管理」が崩れている。と言う人も少なくありません。
体が元気で、生活がバランスよく整っていれば、人と上手に付き合ったり、いい仕事の習慣を身につけたり、自分にぴったりの仕事を見つけるのにすごく役立ちます。
この記事では、あなたがもっと楽しい職業人生を送るためのちょっとしたコツや、あなたの身体と日々の暮らしを大事にする。ってどういうことかを見つける事ができたらいいな~と思っています。
少しずつでもいいので、この記事からヒントを得て、ぜひ今日から取り入れてみてください。
健康管理
健康管理とは、自己の身体と心の状態を理解し、健康を維持・向上させるための日々の行動を指します。
職業生活においては、この健康管理が極めて重要な役割を果たします。健康な身体と心は、生産性の向上、ストレスの軽減、そして職場での長期的な成功の基盤となるからです。
健康管理の重要性
健康を守るコツ:適度な運動、バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレスを減らす時間を持つこと。
何度も聞いたことのある基本的なコトだと思いますが、やっぱり、これらが健康の秘訣です。
健康が仕事に与えるいい影響:身体をきちんとケアできるようになると、仕事のパフォーマンスが上がり、周りの仲間たちとも上手くやれるようになります。ストレスもうまく扱えるようになり、充実した仕事ができるようになります。
日常生活管理
日常生活管理は、健康管理と同様に、職業準備性において重要な役割を果たします。日常生活の管理とは、時間管理、財務管理、個人的な責任の管理など、日々の生活を円滑に運営するためのスキルのことです。
これらのスキルは、職場で上手くいくためだけでなく、個人の日常生活の満足度を高めるためにも不可欠です。
日常生活を管理するって?
生活を管理するって?: 時間、お金、感情等を上手に管理するスキルのこと。これが出来るようになると、仕事もプライベートも充実します。
生活を上手にするコツ
スケジュールの管理:カレンダーやアプリを使用して、日々の予定を管理しましょう。優先順位の設定。重要なタスクを特定し、優先順位をつけて取り組むことで、時間を有効に活用できます。
お金の計画:まずは日々の収入と支出をざっくりでもいいので、記録し予算を立ててみましょう。
自分にご褒美を与えよう:リラクゼーションや趣味の時間を強制的に取り自分で自分にご褒美を与えましょう。ストレスを軽減し、精神的なバランスを保つことができます。
一見関係ないように思うかもしれませんが、やっぱり日常生活が上手くいっていないと、仕事に集中できず、やっぱり良い仕事はできません。良い仕事をするためにも日常生活を上手く過ごすことは重要です。
対人技能、基本労働習慣、職業適性との関連性
職業準備性の土台の部分「健康管理」と「日常生活管理」が上手くいくことで、「対人技能」、「基本労働習慣」、「職業適性」という他の要素が大きく影響を受けます。これらの要素は互いに補完し合い、職業生活における成功へと導く重要な役割を担っています。
対人技能の向上
健康的な身体と心は、他人とのコミュニケーションや協力を円滑にします。健康管理によりストレス耐性が向上すると、難しい状況でも冷静さを保ち、対人関係での問題解決能力が高まります。
健康で心が穏やかになると、人と話すのもスムーズになります。体調が良いとストレスも減るから、難しい場面でも落ち着いて対応できるようになります。生活が整っていると、約束を守ったり、計画を立てたりがラクになり、人との関係も良くなるんです。
基本労働習慣の確立
健康管理と日常生活管理が上手くできると、職場でさらに責任を持って行動できるようになります。時間管理や自己管理がうまくできると言うことは、仕事を期限内に完成させるスキル、チーム内での役割を果たすスキルといった、基本的な労働習慣の向上を意味します。
職業適性の発展
職業適性は、個々の業務遂行能力やその仕事に対する適性に関連しますが、これらは健康と日常生活の管理が支える基盤の上で成長します。身体と心の健康が保たれていることで、新しいスキルの学習や専門知識の習得が容易になり、職業適性を高めることができます。
健康で、毎日がうまく回っていると、新しいことを学んだり、自分の得意を伸ばしたりするのが、ずっと簡単になります。これが、自分にぴったりの仕事を見つけ、そこで活躍する力に繋がります。
総合的なアプローチ
これらの相互依存関係を理解し、健康管理と日常生活管理から始めることで、職業準備性の他の要素も自然と向上します。全体としてのバランスを意識し、職業生活における長期的な成功と満足を目指すことが重要です。
実践的アドバイス
職業準備性の向上は、日々の小さな努力から始まります。まずは生活訓練で「健康管理」と「日常生活管理」を中心に、具体的な訓練を通じて自身の能力を高めていきましょう。
生活訓練で行っている実践的な訓練をいくつか紹介します。
健康管理に関するアドバイス
ルーティンの確立:睡眠のリズムが乱れている方は、支援員と一緒に毎日の起床、就寝のスケジュールを立てます。一緒に立てたスケジュールの実行も支援員と一緒に行います。それができるようになると、通所時間の管理、訓練スケジュールの管理も支援員と一緒に行います。
バランスの取れた食事:食事が乱れている方は、支援員と一緒にバランスの取れた食事を考えます。カリキュラムで一緒に調理も行います。
定期的な運動:体力が低下している方は、支援員と一緒に運動をします。半強制です(笑)。ひとりでは、なかなかできないウォーキングやヨガプログラムなど、みんなと一緒に楽しめる形で定期的に身体を動かすプログラムが豊富にあります。
日常生活管理に関するアドバイス
タスクリストの作成:日々のタスクをリストアップし、優先度に応じて順番に処理することで、効率的に時間を管理するお手伝いをします。
お金との上手な付き合い方を学ぶ:発達障害当事者のFP岩切さんの特別セミナーや毎月のお金の授業などで、月間の収支を把握し、無駄遣いを避けるためのお金との付き合い方を学びます。
リラクゼーションの時間を設ける:自分だけの時間を大切にする方法を学びます。土曜日の余暇支援のプログラムで、今までやったことのない趣味やアトラクションも体験します。趣味に時間を割くことで、精神的な健康を保ちます。
これらのアドバイスを実生活に取り入れることで、職業生活におけるストレス耐性や生産性を高めることができます。また、日々の小さな成功体験は、自信とモチベーションを高め、職業準備性の向上につながります。
まとめ
生活訓練のカリキュラムで向上する職業準備性の土台の役割を果たす「健康管理」と「日常生活管理」に焦点を当てて解説しました。
これらの基本的な管理能力は、職業生活のみならず、個人生活の質を高める上でも極めて重要です。健康的な身体と整った生活は、対人技能、基本労働習慣、職業適性といった他の職業準備性の要素を支え、相互に強化します。
健康管理と日常生活管理の実践的なアドバイスを通じて、日々の生活の中で実現可能な小さな成長を実感することができます。その小さな小さな成長こそが、長期的な視点で見ると、職業生活における持続可能な成功と充実感へとつながります。
職業準備性を高めることはすぐ簡単に達成できるものではありません。健康も生活の管理も、他のいろんなスキルと結びついて、あなたをサポートします。少しずつでいいので、今日から実践してみてください。
継続的な努力と小さな自己成長を通じて、個々の能力を徐々に向上させることが重要です。すぐに大きな変化を求めずに、コツコツと努力を続けることが大切です。
この記事が、もっと楽しく、充実した職業生活を送るためのきっかけになれば嬉しいです。