僕のブックオフ 店長人生 その1

店長力ゼロではじまった僕のブックオフ店長人生ですが、はじめの数週間はただ広い店内をダッシュして、大きな声でヤマビコ(スタッフが『イラッシャイマセ~~』をヤマビコのように繰り返すこと)だけをただただ繰り返していました。

前任の夜逃げ店長を打ち負かしたベテランスタッフたちにも僕の一生懸命さだけ、は伝わったようで、僕は打ち負かされることなく(笑)、そんな僕をいろいろと助けてくれました。そして、なんといっても店長力ゼロの僕にイチから店長の仕事を教えてくれたのが、同い年のYエリアマネージャーでした。

社内でも理論派で有名だったYさんからは、店長の仕事の基礎の基礎から教わりました。そんなYさんとは、アメリカ駐在員時代までその後、長いお付き合いをさせていただきました。

よっぽど心配だったようで僕のお店に、Yさんはひんぱんに様子を見に来てくれました。そのたびに、強烈なダメ出しを食らうので、最初はへこむばかりで、本音ではYさんのことをうっとうしく思っていました。(笑)

しかし、だんだんと店長の仕事にも慣れてきて、Yさんの言っていることが理解できるようになると、少しずつお店の売上も上がるようになってきました。

じつは、そんなYさんも初めてのエリアマネージャーだったので、慣れないことも多かったようで、あるとき、『なんでエリアの売上があがらないんだろう~』と僕の前で弱音を吐いたことがありました。いつもは冷徹なYさんでも弱音を吐くんだなぁ~と、意外な一面が見えて、なんだかYさんが急にいい人に見えてきました。(笑)

実際に自分の店舗もエリア全体も売上が上がらない時期が半年ほど続きましたが、その間もYさんと一緒に試行錯誤をかさね、僕の店長力もぐんぐん上がっていきました。

そんな時に店舗のリニューアル工事のチャンスが訪れました。

店舗の外装、駐車場の拡張工事、野立て看板の新設など、大きな予算をかけたリニューアル工事でした。このリニューアルの結果いかんで、今後の僕の店長人生とYさんのエリマネ人生が決まる大勝負でした。

リニューアル工事に合わせて、店内も大レイアウト変更を行いました。200坪以上ある売場には、25万冊以上の本がありましたが、そのほとんどの陳列場所を入れ替える大がかりなものでした。

通常営業をしながら、改装工事とレイアウト変更を行うので、どうしても営業終了後の作業が多くなります。当時の営業時間は、朝の10時から夜の11時だったので、その後の作業となると、夜中の1時や2時までかかることは当たり前でした。

工事終了後のリニューアルオープン日はすでに決まっていたので、直前の2,3日は明け方まで作業をするという状態が続きました。

他の店舗のリニューアル工事では、店長がお店に泊まることもあると聞きましたが、僕はお店に泊まることだけは絶対に嫌だったので、明け方まで作業をしていても、とりあえずは家に帰って、少しだけでも仮眠して出勤するようにしていました。今なら完全にブラック企業です。今はそんなことはないと思います。(笑)

そして、何とかリニューアルオープンには間に合わせることができました。このリニューアルが、その後の僕のブックオフ店長人生を大きく変えることになりました。

僕のブックオフ 店長人生 その2
に続く

この記事を書いた人

アイ・ワークス 田村 義邦