「尊大型」「積極奇異型」を支援でどう扱うか|型で人を決めないための4つの視点

支援の現場で、こんな言葉を聞くことがあります。
こうした呼び方を知ることで、その方の行動を理解するきっかけになることはあります。実際、支援者どうしで状況を共有するときに、短い言葉で見立てを伝えられる便利さもあります。
ただ、支援を組み立てるときに本当に必要なのは、その方をどの型に分類するかではありません。たとえば、「会議で他の人の話を途中でさえぎってしまう」という行動があったとします。
このとき必要なのは、
で説明を終えることではなく、
- 話し始めるタイミングがつかみにくいのか?
- 自分の意見を早く伝えなければと感じているのか?
- そもそも会議の進め方やルールがあいまいなのか?
- ご本人自身は、その場面で困っているのか?
というところまで具体的に見ていくことです。
この記事では、「型」を人に貼るラベルではなく、支援を考えるための補助線としてどう扱えばよいかを整理します。アイ・ワークスが西明石・神戸三宮の事業所で実際にとっている考え方です。
目次
「尊大型」「積極奇異型」は診断名ではありません
まず前提として、「尊大型」「積極奇異型」は、医学的な正式診断名ではありません。診断基準に書かれている分類でもありません。支援や教育の現場で、周囲からどう見えやすいか、どんな誤解が起きやすいかを共有するために、便宜的に使われてきた言い方です。
それぞれの型がどういう行動傾向を指すのか、具体的にどんな特徴が語られてきたのかについては、アイ・ワークスAI福祉ラボの記事で詳しく整理しています。用語そのものを知りたい方は、まずこちらをご覧ください。
この記事では、型の説明はここまでにして、その先を書きます。
アイ・ワークスAI福祉ラボ


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型を知ること自体が悪いわけではありません
「型で人を見てはいけない」とだけ言われると、支援者は言葉を失ってしまいます。型という言葉には、次のような役割があります。
- ご本人の行動を理解するための、最初のとっかかりになる
- 支援者どうしで「どういう場面で誤解が起きやすいか」を素早く共有できる
- ご家族が「うちの子だけではないんだ」と気づくきっかけになる
問題なのは、型を知ることではありません。型を結論にしてしまうことです。
ここで思考が止まると、支援は何も動きません。環境も変わりませんし、ご本人の働きやすさも変わりません。型は、支援の入口にはなりますが、出口にはなりません。
支援で見るのは「型」ではなく、この4つです
アイ・ワークスでは、行動が気になる場面に出会ったとき、型に当てはめる前に次の4つを確認します。
1.実際に何が起きたか
「尊大」「空気が読めない」といった評価の言葉ではなく、その場で起きた行動で記録します。たとえば「会議中に、相手が話し終える前に3回発言があった」のように書きます。評価の言葉は、書いた人によって意味が変わります。行動は変わりません。あとから読み返したときに支援の材料になるのは、行動のほうです。
2.どんな場面で起きるか
同じ行動が、いつでも同じように起きているわけではありません。
- 誰と一緒にいるときか?
- どの作業をしているときか?
- 予定が急に変わった直後か?
- 指示があいまいなときか?
- 疲れがたまる時間帯か?
場面が特定できると、支援の打ち手はかなり絞られます。「いつも」ではなく「このときに」と言えるかどうかが分かれ目です。
3.ご本人は何に困っているか
周囲が困っているという情報は、たいてい先に集まってきます。一方で、ご本人側の困りごとは聞かないと出てきません。
- ご本人は、その場面を困ったことだと思っているのか?
- 思っているとしたら、何が一番つらいのか?
- すでに自分で試していることはあるか?
ここを飛ばしたまま組み立てた支援は、ご本人にとって「勝手に決められたこと」になります。続きません。
4.何を変えると働きやすくなるか
最後に、変えられるところを探します。変えるのはご本人の性格ではなく、まわりの条件です。
- 役割の決め方?
- 指示の出し方(口頭か、文章か、両方か)?
- 相談するタイミングとルール?
- フィードバックの伝え方?
- 座席や作業環境?
この4つ目まで来て、ようやく支援の話になります。1つ目から3つ目は、そのための材料集めです。
支援記録に「尊大型だから」と書かない
ここは、支援機関にとって特に大事なところだと考えています。
支援記録は、担当者が代わっても引き継がれます。数か月後、数年後に読む人がいます。そのときに型の名前だけが残っていると、読んだ人はその先入観から支援を始めてしまいます。
書き方の例
さらに、次の行動まで書ききります。
行動と、場面と、次にやることが書いてあれば、記録は引き継げます。型の名前は引き継げません。
ご本人に「あなたは尊大型です」と伝える必要はありません
型の名前をご本人に伝えることが、自己理解につながるとは限りません。むしろ、「自分はそういう人間なのだ」と受け取られ、変えられるはずの部分まであきらめてしまうことがあります。
伝えるべきなのは、ラベルではなく起きている行き違いです。
「この場面で、相手はこう受け取っていたようです」
「あなたはこう伝えたかったのだと思いますが、相手にはこう見えていました」
このズレを一緒に確認するほうが、次にどうするかの話につながります。ご本人が「じゃあ、こうしてみようか」と言える形まで持っていければ、それが自己理解です。
職場では「性格」ではなく「行動」で話す
企業のご担当者と話すときも、同じです。「偉そう」「頑固」「空気が読めない」といった性格の評価で共有すると、職場の側も「そういう人だから仕方がない」で止まってしまいます。
代わりに、この順番で伝えます。
- 事実:何が起きたか
- 影響:それによって職場側にどんな支障が出ているか
- お願い:次にどうしてほしいか
たとえば、「指示を出した直後に手が止まることがあり、作業の着手が遅れています。指示の最後に、やることを1行でまとめて伝えていただけると着手しやすくなります」という形です。この伝え方なら、職場も動けます。性格の話には対処のしようがありませんが、行動と環境の話なら調整ができます。
職場で起きている誤解そのものへの具体的な対処については、こちらの記事で整理しています。
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型を知ったあとにこそ、その人を見る
アイ・ワークスは、型を否定しているわけではありません。同時に、型で人を説明しきれるとも考えていません。
型を知ることで、「こういう見え方をすることがあるのか」と視野は広がります。その広がった視野で、あらためて目の前の方を見る。そのときに戻ってくる問いは、いつも同じです。
この方は、何に困っているのか。そして、何を変えれば働きやすくなるのか。
支援の仕事は、分類を当てることではなく、ここを一緒に探すことだと考えています。
よくあるご質問
アイ・ワークスでは、就職前の準備から就職後の職場定着まで、明石・神戸で支援を行っています。職場での関わり方についてお困りのご担当者、ご家族からのご相談も受け付けています。


